
ごく一部に大好評の備忘録シリーズ!
今回はMarshall JMP-1について書いてみようと思います。
Marshall JMP-1。。。
これはMarshall史上初の(最後かもしれない?)MIDIプログラマブル・プリアンプです。
MIDIプログラマブルってのがミソです。
これは90年代初頭に登場して、すぐ入手しましたねえ。資料(マーシャルアンプ大名鑑)によりますと92年末に発売とのこと。
あの頃は、ラックシステムが「プロ用機」って感じで憧れだったんですよね。
というか、現代のようにコンパクトエフェクターでラックのように多機能で高品位なものがあまりなかったということもあります。
ラックエフェクターが世に出て来る前のエレキギターの機材って、アンプもエフェクターも種類もたくさんなかったみたいなんですね。
70年代初期のマーシャルアンプも、ギター用とベース用っていう区分もあまりない感じで、回路もほとんど同じだったり。。。
そもそもエレキギター用機材っていうのが少ないので、チューブスクリーマーとかBOSS OD-1がない時代に、なんか歪みが足りないよねっていう話になったら、レコーディング現場のいろんなのつないでみる?テープエコーとかつないでちょっとINPUTでブーストとかしてみよう。。。うん、あとはやっぱり気合いだよね!
・・・みたいな、、、おそらくそんな感じの70年代だったわけですよね。
で、80年代になってくるとどんどん世の中のデジタル化が進み、
デジタルは良いことだ!ということになり、
なんでもかんでもデジタル!デジタル!
デジタル腕時計からはじまって、
ニンテンドーはゲームウオッチを発売し、
トヨタソアラのスピードメーターまでデジタル表示になっちゃうよ!という時代になってくると、
レコーディング機材の方もいよいよデジタル化が進んでいくわけです。
SONYから登場したPCM-3324というデジタルマルチトラック24チャンネルレコーダーが1984年に登場。
レコーディングできるトラック数も増えて、良い感じの打ち込みドラムマシンも登場してきて、ヤマハから世界初のデジタルシンセDX-7が登場して、音楽もシュパーン!キラキラ〜!みたいな80年代特有のキラキラしたポップスになってくるわけです。
そういうオケになじむべく、当然ディレイもプレートとかテープとかアナログではなく、やっぱりデジタルでしょ!ってことでデジタルディレイが登場。
そしてデジタルディレイ戦争が勃発です。
国産初のデジタルディレイはおそらくRoland SDE-2000だと思われます。
1981年発売。さらにその上位機種のSDE-3000は、ほぼ全てのレコーディングスタジオにあるくらい勢いだったかと。
それに対抗してKORGからあからさまにケンカを売っているかのような品番のSDD-3000も1982年末に登場。
スタジオで重宝されたRoland SDE-3000に比べて、KORGのはガッツのある音色で、U2のエッジとか布袋さんがステージで使ったりしてロックギタリストに愛用されて有名になりました。
KORG SDD-3000はプリアンプ部に特徴があり、インプットを上げることでガッツのあるファットなサウンドが得られたんですね。
がしかし、ひとつ残念なのはどちらもMIDIがないことですね。。。
ラックシステムの巨匠、ブラッドショウ先生はRoland SDE-3000を好んで選んでいたようです。
ブラッドショウ先生と言えば、こういったデジタルディレイとかを綺麗に鳴らしたいってなると、歪みの前に残響音があると残響音が歪んで濁ってしまいますから、やはりプリアンプとパワーアンプの間にラックエフェクターを入れるのが理想だよね・・・っていうところに、
突如としてとてつもない高い壁のようにそびえ立って現れたのがスティーブルカサーのラックシステムで、
ボブ・ブラッドショウ大先生によってデザインされた「プリアンプとラックエフェクターをスイッチングシステムで一括コントロールしてパワーアンプで出力するというシステムを構築すると、こんなにハイクオリティで多彩なサウンドがスイッチ一発で呼び出せるんですね〜っ」ていう話になってくるわけです。
そういう感じでラックシステムっていうのがどんどん巨大化して「ラック機材=ハイクオリティ」という神話が構築されていき、世界中のギタリストが、プリアンプ、エフェクター、パワーアンプ、キャビネットを好みに合わせてくみ上げて行くっていうのが主流になっていったんですね☆
プロアーティストのステージ上も、冷蔵庫みたいなのがずら〜っと並ぶのがスゴかった時代。
大きいことはいいことだ!
デジタルなのはいいことだ!
プロミュージシャンはみんなラックを使っている!かっこいい!
みたいな流れですね。
でも、空間系はデジタルが主流になっていきましたが、ギターアンプは、やはり真空管のアナログサウンドがいいよね!っていうことになっておりました。
ギタリストの耳が、そう判断したんですよね。
そういう時代に導かれるように、アナログ回路で真空管搭載で、そのプリセットをMIDIでコントロールしよう!ということで、80年代後半にADA MP-1が発売され、ギタリストたちが一斉に使用しはじめます。
プリセットをMIDIコントロールで、デジタル機器と一緒に制御できることは、ステージでもやはり便利なんですよね。
で、そのADA MP-1の大人気に対抗して、おいおいちょっと待てよ!っていう感じで登場したのが、本家MarshallのJMP-1でした。
さっきのデジタルディレイじゃないですけど、もう製品名からしてケンカを売ってるとしか思えませんよね笑。
アナログにずっとこだわってきたアンプの王者マーシャルが、ついにMIDI搭載のプリアンプを発売!ということで衝撃でした。
そんなJMP-1はヴィンテージライクなOD-1と、ちょっとモダンな感じのOD-2と、CLEANも2チャンネルあって合計4チャンネルをMIDIコントロールできる素晴らしい内容でした。
やっぱり当たり前ですが、ADA MP-1よりはマーシャルらしいサウンドってのがポイントです笑。
でもやはりパワーアンプでもしっかり歪ませる音作りにしないと、なかなかマーシャルヘッドに肉薄できないんですけどね。
でもこのJMP-1にしかないサウンドがあり、いまだにたくさんのギタリストに愛用されてるのです。
なにげに特筆すべきは、スピーカーキャビネットをシミュレートしたアウトが搭載されており、このサウンドが秀逸でした。
90年代当時の自宅録音は、ほぼこれのみで済ませてましたねぇ。
さて、すごい話が脱線してしまいましたが、、、電池交換〜

2006年に一度、電池交換してるんですが、当時はハンダで直接電池に配線する強引な手法だったので、
今回は今後のメンテナンス性も含めて、電池ホルダーにしてみました☆
電池交換した後は、OD1とCLEAN1を同時に押しながら起動してファクトリーリセットが必要です。


そして技術は進歩し、コンパクトエフェクターでもラック並みに高品質な空間系が発売されたり、
ヘッドみたいに良い音のする歪みエフェクターもどんどん発売され、
スイッチングシステムもラックではなく足下で完結できるようになると、
デカイ、重い、高い、というラックシステムはやがて衰退していったのでした。。。
でもやっぱり、あのときのプロ用機材!っていう憧れの気持ちはずっと残ってます。
Marshallの名機 JMP-1は、今でも自宅で練習やレコーディングに大活躍してくれております☆
いつかまたライブでも使いたいですね〜(^○^)
- 2018/01/20(土) |
- ギター・エフェクター
-